歯ぎしりがあってもインプラントはできる?

投稿日:2025年9月1日

カテゴリ:インプラント

インプラント治療は、失った歯を補う方法の中でも「自分の歯に近い噛み心地を取り戻せる」という大きなメリットがあります。入れ歯のように外れる心配がなく、ブリッジのように隣の歯を削る必要もありません。審美性や機能性にも優れ、適切にケアすれば長期的に使用できる治療法です。

しかし、そんな優れたインプラントであっても注意しなければならないのが「歯ぎしり(ブラキシズム)」との関係です。歯ぎしりは多くの人が無意識に行う習慣で、特に睡眠中に強い力が歯や顎にかかります。天然歯であれば歯根膜というクッションが衝撃を和らげてくれますが、インプラントにはそれが存在しないため、力がダイレクトに骨やインプラント体へ伝わってしまうのです。

その結果、上部構造のセラミックやジルコニアが欠けたり、インプラント周囲の骨に負担が蓄積して「インプラント周囲炎」や「骨吸収」へとつながるリスクがあります。せっかく埋入したインプラントが長持ちしない原因の一つとなるのです。

対策としては、ナイトガード(マウスピース)の使用が最も一般的です。就寝時に装着することで過度な咬合力を分散させ、インプラントや骨を守ることができます。また、かみ合わせの調整や、インプラントの埋入位置・本数の工夫によっても負担を軽減できます。さらに、歯ぎしりの背景にはストレスや生活習慣が影響している場合も多いため、リラックス法や睡眠環境の改善も効果的です。

インプラントは優れた治療法ですが、その寿命を左右するのは手術の成功だけではなく、術後の生活習慣やメンテナンスです。特に歯ぎしりを持つ方の場合、知らず知らずのうちに大きな力を加えてしまい、せっかくのインプラントが短命に終わってしまうこともあります。
不安な方や自覚症状のある方は、担当医までご相談ください。

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